一般社団法人 下館青年会議所
2024年度 第46代理事長 菊池 敏弘
【はじめに】
私たちは、高度経済成長期や安定成長期のような成長が見られず、経済の低迷や景気の横ばいが続き、先行きの見えない「不安な時代」を生きている。戦後からの高度成長と共に先人たちから受け継いできた日本人としての豊かな心はどこか満たされず、自由なはずなのにどこか閉塞的である。現代は欲しいものはすぐに手に入り、やりたいことはなんでもできるのに、無力で悲観的になり、自分の欲望を満たすために正しい道から外れることすらある。
なぜ、そのような閉塞的な状況なのか。それは、多くの人が生きる意味や価値を見出せず、人生の指針を見失っているからではないのか。そんなことを自問自答しながら地域を愛する仲間と共に持続可能な明るい豊かな地域社会のために青年会議所運動を拡げている。そんな私たちは、この社会に生まれ、生きているだけで意味のある、儚く、尊い存在だ。だからこそ、共に生きていくことができる喜びを胸に人生を共に歩んでいくことが必要である。
「利他の精神が未知を切り拓く」
人が歩む人生、そこには必ず行動しなければならない。その行動するためには動機が必ずある。動機には外因的動機と内因的動機があり、内因的動機こそが心の内から湧き出る究極の欲求であり、その欲求を見つけることが人生を豊かにする。自分のために生きてきた人生より、他者を思って生きていくことが、どんな困難でも立ち向かい、その壁を乗り越えることができ、人生をより豊かにすることができる。人は一人では生きていけない。人と人が寄り添い、支え合うことで困難を乗り越え、喜びを共にし、人生を豊かにしていくと信じている。先が見えない時代でも仲間と共に歩めば、必ず道を切り拓くことができる。何より、自らの限界に挑戦し、新しい価値を生み出すことで感動を与えうよう。
恐れない、驚かない、ためらわない、疑わない
誰だって初めてのことは戸惑い、うまくできないこと、上達できないことがある。
まずは、行動すること。
失敗したからといって諦める必要はない。
そこがスタートライン。
大丈夫。
ひとりじゃないから。
自分を信じ、仲間を信じ、新たな道を切り拓こう
【ブランディングによる拡大戦略】
下館青年会議所が下館青年会議所であり続けるために一人でも多くの仲間が必要である。下館青年会議所に脈絡と受け継がれている伝統文化を後世に受け継ぐためにも青年会議所の魅力を伝えなければならない。物事の視座を変えると辛いことも楽しくなることがある。視座を変え、意識を変え、青年会議所運動への意識を醸成し、行動することで、本質に触れることができるはずである。アカデミーが多いメンバーだからこそ、どんな時でも、物事の見方を変え、多種多様な価値を認め、触れ合い、コミュニケーションすることで相互理解を深めることができる。
人に価値を伝えることが共感を呼び、人を動かすことができる。二度とない人生だからこそ、出逢いに感謝し、寄り添い、ひとりひとりが持つ魅力を最大限に活かす会員拡大こそが誰も置き去りにしない下館青年会議所の拡大運動になることを信じている。そして、どんな時も一人じゃない、必ず仲間がいるから。大切な仲間と共に奏でる価値観のメロディーを一人でも多くの人に届けよう。
【笑顔あふれる会員交流】
人の数だけ人生があって、人生の分だけストーリーがある。人それぞれに輝ける場所が必ず存在し、その場所を自らが見つけることもできる人もいれば、いつの間にか見つけている人もいる。そんな場所には自分の姿を見て喜んでくれる人が必ずいる。自分が笑顔溢れる毎日を過ごすことができる人と出会うからこそ、人生に目的が生まれ、自分の世界に引きこもらず、自ら行動することができる。大切な人と出会い、時間を共に育むことで多くの学びが得られ、さらに絆が深まり、今まで以上の深い信頼関係が私たちの人生を豊かにすることができる。人は人で磨かれ、成長できる。時には辛いことも、嬉しいことも、楽しいこともあるだろう。そんな多様な体験を経験に変え、ありがとうで満タンのポケットができる交流をしていこう。
【人を創るまちづくり】
筑西・桜川市では、人口減少、少子高齢化が進行し、財政にも課題を抱え、力強い成長がなかなか実現できず、疲弊するという負のスパイラルに陥っている。そんな今こそ、本質的な目的に立ち返り、地域資源を活かした新たな地域社会を生き抜くべきである。そのためには、地域に住む人たちが自ら積極的に行動し、輝こうとする主体性が必要である。利己的な利益を最大限に追求するのではなく、本質を捉え、地域、そして、地域に住む人の特有の価値観やビジョンに基づいた独自性を求め続けなければならない。独自性を持って行動するには、各地域のステークホルダーだけではなく、地域社会全体が地域愛を持って行動するという姿勢が求められる。地域の価値の創造こそが共感を生み、唯一無二の存在になることができる。
また、近年では日本各地で自然災害が発生している。自然条件の変化のみならず、社会環境の変化も災害リスクを高める要因である。急速な人口減少、少子高齢化により従来支えてきた共助の担い手も減少し、地域の防災力は弱体化が懸念されている。地域を存続するためには自分達が主体的に地域を守るという意識を持ち、共助の精神で困難に立ち向かうことが求められる。その根底にある「この地域が好きだ」という潜在的に感じていることを顕在化させ、地域愛を語ることができる人を創るという視座から価値観の共鳴、共感を得ていこう。
【サスティナブルな人財教育】
意識の器の奥行き無限大。人は感情をとても上手に使いわけることができる動物である。人が行動を起こす時、必ず動機がある。動機には内発的動機と外発的動機がある。特に重要なのは、内面に沸き起こった興味・関心や意欲に動機づけられている内発的動機である。
内発的動機による主体的な行動が承認欲求を満たし、自己を表現することができる。自己表現には、自己分析、意思決定、目標設定の機会が必要であり、成功に囚われることなく、主体的な行動を起こせることを育むことが求められる。
成功も失敗も紙一重である。失敗なんて恐れることはない。失敗すればするほど、成功に近づいているし、死ぬこと以外はかすり傷である。そんな失敗できる体験こそが成長を促し、器を大きく、深くできるのである。
故郷は私たちが戻る場所を与えてくれている。先人たちはそんな戻る場所を作ってくれた。私たちはそんな故郷を未来につなげる橋渡し役である。だからこそ地域資源の良さを改めて感じることで生への喜びを感じ、今ある命に感謝し、人生の一瞬一瞬を大切にできることが地域を守り、未来へ繋げる人財育成である。
【いつも利他の心が道を拓く】
「ひとづくりはまちづくり」という言葉が心に突き刺さり、人を思いやる心を再確認できたあの夜、こんな言葉を思い出した。
「まだまだ先は長い、深い、言葉にならないくらい。
100年に一度のどんな発明にしても、99年も待ったんだ。筑西じゃ無理かもね。桜川じゃ無理かもね。そんなこと言ってるようじゃ。何年たったって変わらない。」
筑西、桜川には自然豊かな資源がある。そんな豊かな自然を活かしてきた先人たちがいる。そこに人がいるからこそ成長でき、発展できる。人を想いやる心と心が共鳴し、この地域でしか奏でられないメロディーを生み出す。
【結びに】
「成功に囚われるな、成長にとらわれろ。」
私の人生を振り返ると挫折の連続であった。そんな挫折のなかで学んだことがある。挫折は過程である。最後に成功すれば、挫折は過程に変わる。 だから成功するまで諦めない。成功するまで諦めないでやり抜けることができたのは自分を信じることができたから。しかし、成功に囚われてはいけない。成長に囚われろ。
自分を信じ、他者を思って生きることが人生を切り拓いてくれる。
どんな辛い夜も明けない夜はないから、ただひたすら前に進め!
未来は俺らの手の中に。